文化の違い-翻訳の難しさ-「ライバルは僕を高みに連れていく」
2012.05.12 Sat
文化の違い―翻訳(ほんやく)の難しさ-「ライバルは僕を高みに連れていく」
たくさんのコメント、本当にどうもありがとうございました。とてもうれしいです!今日は、予定を変更して、コメントにあった質問の一つに答えようと思います。
前回のつづき話なので、まだ読んでない方は、こちらをどうぞ。「ライバルは僕を高みに連れていく」スピーチ・コンテスト(グレード6)

おお…スゲェ!(。≧∇≦。)
英語で笑いを取るってなかなか高度ですよね…
笑われるのは楽なんですが(
「ライバルは僕を高みに連れていく。」…いい言葉です!
英語だとどういう訳にすればいいんでしょう(゜-゜)
これは、ブロ友の yonish さん

yonish さんは、アメリカに4年いて、high school の senior student、つまり、まもなくアメリカの高校を卒業する方です。カナダ式に言うと Grade 12、日本式に言うと高校三年生で高校卒業直前。だから、日本語だけじゃなくて、英語もぺらぺらの人です。その彼が、「英語だと、これ、何ていうのかなあ・・・」って、日本語で思ったところに、この問題のポイントが隠(かく)れていると、僕は思います。
実は、僕も、yonish さんと全く同じことを考えていたのです。僕が、なぜこの言葉、「ライバルは僕を高みに連れていく」を英語で書かなかったのか。それは、この言葉は英語的発想ではないからです。だから、英語に訳しにくい。この言葉の背景にある日本文化と北米文化(英語文化)の感覚的なちがいについて、すこし書いてみようと思います。
まずは、無理やり、訳してみます。例えば、こんな風に。
「ライバルは僕を高みに連れていく。」
(1) Competitors took me to my best potential.
あるいは、
(2) Competitors take you to your best potential.
とまあ、こんな感じの訳でどうでしょうか・・・。

この部分を、たとえば、・・・took me to the top floor・・・とか訳してしまうと、ちょっとおかしなイメージになってしまいます(なんか、ビルの最上階に連れて行かれた感じです)。それでは変です。ここは、いろいろな訳し方があるとは思いますが、僕だったら、best potential という言葉を使います。

「ライバル」は、competitors と訳すことができると思います。

(1)の訳は、past tense 過去形を使っています。なぜなら、me を使って表現しているからです。 me を使うということは、あくまでも「僕」の「個人的な体験(過去の経験)」について書いた表現ということになるので、(日本語だと過去形になってはいないけど)、英語だと、past tense 過去形で書くべきだと思います。
(2)の訳は、present tense 現在形を使っています。この場合は、(1)とはちがって、you を使って、一般的な表現にしているからです。つまり、過去の誰かの体験ではなく、「一般的な話」をするのであれば、過去形ではなく、present tense 現在形で書くべきだと思います。

日本語の「ライバルは僕を高みに連れていく。」には、「僕」という言葉が入っています。だから、 (1)の方が(2)より、表面的には、訳として、近いようにも思えます。また、「僕」の「個人的な」「過去の体験」の結果が「こうだったのだ!」ということを特に強調したいのであれば、(1)の訳の方が、より近いということになるのでしょう。
しかし、感覚的なことを言うと、僕は、(1)より(2)の方が、より良い訳のように感じています。なぜなら、日本語のもつ、「ライバルは僕を高みに連れていく。」という表現は、「僕」という言葉を使って、「僕」の「一回の」「過去の体験」について語っているように見えて、実のところ、それにとどまるものではないはずだからです。この日本語表現には、もう少し一般的な意味というか考え方というか、おおげさに言うと、philosophy 哲学(てつがく)というか、文化的なものが、ふくまれていると思うのです。(だからこそ、みなさんが、コメントしてくださったんだと思っています。どうも、ありがとうございます。ぺこり。)
というわけで、僕としては、どうしても訳せと言われたら、(1)か(2)の訳、そして、どちらかを選べと言われたら、より一般的な意味をもつ(2)の訳にするとは思うんですが・・・・・。
しかし~~~~~~!






英語人(英語だけを使って考える人)は、こんな発想は、ふつう、しないです。それに、こんな英語表現、見たことも聞いたこともないです。
(1)も(2)も、文法的には良いと思うんですが、なんか、英語だと、今ひとつしっくり来ない。もちろん、英語人に、(1)や(2)の文章を見せた上で説明をすれば、理解はしてもらえると思います。でも、説明なしだと、「ん?なんで?」っていう感覚をもつんじゃないかなって思います。
その理由は、やはり、competitors というと、何となく、enemy 敵という、においが、するからなんじゃないかなって思うんです。teammates チームメ-トだったら、仲間という感じがするんですが、competitors となると・・・うーん。。。
感覚的なことなので、伝えにくいんだけど、例えば、Hollywood Movie ハリウッド映画において、善と悪がくっきり分かれているっていうのも、英語文化は、敵と味方がはっきりしている文化だからなのかなあという気もします。それに対して、日本語というのは、「敵に塩を送る」という言葉もあるし、もう少し、やわらかいというか、もう少し complex 複合的な印象があります。うまく言えないんですが・・・。英語だと、「チームメートといっしょに成長する」っていうイメージなんだけど、日本語だと、もちろん、「チームメートといっしょに成長する」んだけど、「チームメート」だけじゃなくて、「ライバルともいっしょに成長する」っていえばいいかな。
僕が、日本文化


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Category: カナダでバイリンガル生活
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